以下は,淺井健人弁護士(東京弁護士会)からの寄稿です。
(*・∀・)いつもありがとうございます。
(;^ω^)お前の記事と違って,真面目なテーマだな。
なお、反響が多かったので、続編があります。
民事執行法大改正!今から出来る/すべきことを考える

平成30年8月31日に民事執行法の改正に関する会議が開催され、要綱案(法案の前段階のもの)が出されたようです。要綱案はまだ公にはされていませんが、要綱案第一次案からすると、財産開示制度について次のような改正がなされるようです(国会審議において変更が加えられる可能性や一次案から変更がなされている可能性はあります。)。
強制的な回収が見込めずに、法的な対応を断念するケースはしばしば見られますが、今回の改正は、大きな前進といえるでしょう

1 財産開示制度の拡充
(1)罰則の強化
 平成15年に、判決などの債務名義があれば、債権者は債務者を呼び出して財産状況について質問をすることができる財産開示制度が導入されました。
 しかし、出頭をしないときや回答を拒んだとき、嘘を言ったときでも、30万円以下の過料しかなく、実効性が弱いという批判がなされていました。
 そこで、今回の改正では、より実行的な制度とするために、罰則を強化するものとされています。
(2)対象の拡充
 現在は、支払督促や執行認諾文言付公正証書については、財産開示制度の対象外ですが、今回の改正では、そうした債務名義であっても対象となるものとされています。

2 第三者から財産に関する情報を取得する制度の新設
(1)不動産に関する情報の取得
 金銭に関する執行力のある債務名義がある場合など財産開示の対象となる場合には、登記所に債務者が所有権の登記をしている不動産情報を求めることができるようになるものとされています。
(2)給与情報の取得
 養育費や生命・身体を侵害したことに基づく不法行為債権について、金銭に関する執行力のある債務名義がある場合は、市町村や年金機構、共済組合等から、債務者の給与情報を取得することができるようになるものとされています。
(3)預貯金情報の取得
 現在は、一部の金融機関に対して、金銭に関する執行力のある債務名義(執行認諾文言付公正証書を除く)に基づく弁護士会照会により、取扱店舗、預貯金債権の種類及び額等の情報を取得することができます。
 今回の改正では、金銭に関する執行力のある債務名義がある場合、金融機関に対し、取扱店舗、預貯金債権の種類及び額等の情報を取得することができるようになるものとされています。
(4)証券、社債、国債等の情報の取得
 金銭に関する執行力のある債務名義がある場合、証券保管振替機構や証券会社、銀行などに対し、取扱店舗、預貯金債権の種類及び額等の情報を取得することができるようになるものとされています。

続編はこちら。